癖とり (くせとり)
Forming
布を立体化するために、伸ばす、追い込み、いせるなどによって布を変形させる操作。(JISハンドブック 繊維(2006)
)
癖とり(このページ)の目次
- 癖とり
- 癖とりが始まったのは
- 癖取り工程の必要性(重要性)
- では、平面を立体にしたときの不都合とは
- 量産体制の工場の癖取り工程
- どれだけアイロンをかけたかで仕事の良し悪しがきまる
- パンツの癖とり
- 癖とりプレス
2009/01/20追記
癖とりが始まったのは
洋裁とテーラーの分化が始ったのは、14世紀の頃だと言われている。「癖取り」は両方に共通する技術で、それ以前から行われていただろう。縫製の始まりは、ヨーロッパであり、職業として確立したのは、13世紀の頃である。当時は羊毛(ウール)を主な素材として、服を仕立てたと考えられている。「癖取り」の技術の始まりも、羊毛(ウール)の特性を生かしたものであった。
癖取り工程の必要性(重要性)
平面の布を、立体の「人」に着せる事による、各箇所の不都合を解消する技術の一つで、デザインやカッティングの考慮を加えた後に行われる最終製作工程であると言える。当然、デザインやカッティングと連携して行われるべき重要な作業であるが、一般的には、暗黙の了解の下で作業は行われる。デザインは日々流行に合わせ変化する為、服を構成する要素が大きく変化しない限り、決まった前提の下で必要な箇所で、必要な癖取り工程が行われる。
癖取りが行われる大前提は、
- インカーブ(くびれている箇所)は、伸ばす
- アウトカーブ(膨らんでいる箇所)は、追い込む
- 袖、後肩はイセル
であるが、実際にはもう少し細かな条件の下で行われる。デザインにより行われる箇所の多少の増減はあるものの上記が基本的な目安とされる。
量産体制の工場(一般的な服の製造工場)では、工程の合理化が進み要不要を含め、機械化と省略化が行われている。また、時代と共に、織物の軽量化と安定化が進み、癖取り工程を省略しても不都合が起こりにくい事も、癖取りの省略の一因である。また、市場のニーズ、既製服の限界などの要因も含め癖取りの必要性を弱める原因でもある。
では、平面を立体にしたときの不都合とは
単純に「平面の布を、立体の人に着せる事による、各箇所の不都合」というが、どういう不都合が起こるのだろうか。それを考えてみたい。
量産体制の工場の癖取り工程
癖取りは、服作りには欠かせない重要な作業工程だが、将来的にはどのようになるかは現段階では不明である。少なくとも重衣料の縫製工程では、現在は非常に重要な工程である。多くの量産工場では、整形プレスで対応するか、縫い代処理の際に同時に行われているのが現状で、パターン・メーキングもそれらに合わせるように立体裁断などの製作過程で、極力癖取り処理を省いた型紙(パターン)作りを模索している状況である。また、コンピュータの発達により、イセ量などを調整しながら縫えるミシンも開発されなど、アパレル業界全体としては、癖取り作業を軽減する方向にある。
つまり、「伸ばす」、「追い込み」の作業は、整形プレスの凹凸のある平台に置き形作る。「いせる」は、コンピュータ・ミシンにより、上下の送りを調整しながら、望んだイセ量を本縫時に入れ込む事が、現在の量産工場の最先端の高技術縫製と言える。
どれだけアイロンをかけたかで仕事の良し悪しがきまる
(前略)
何度も申しましたように、私は、「くせとり」を最も重要なものと考えていますので、本縫いをしながらでも何度もくせとりをするのです。つまり、アイロンを当てている時間がやたらに長いのです。これも父から受け継いだやりかたでして、父は「仕事の良し悪しは、どの位アイロンに時間をかけたかで決まる」とよく言っていましたし、実際に仕事をしてみると本当にその通りなのです。私共の言葉に「コテの利いた仕事」というのがあります。コテ、つまりアイロンを利かせるには時間が必要ですが、これが私の目標としている仕事のやり方なのです。ですから何度か申しましたように、良い仕事とはアイロン作業の時間を掛けた仕事、とあえて申し上げます。現代流に機械を多用し、プレス機で仕上げをするのは、それはそれで、一つの立派なやり方ですが、ハンドアイロンによる仕事とは別の生き方だと思います。ハンドメイド、という言葉は、ことにようるとハンドアイロンの仕事の事を言っているのかな?と思ったりします。
(後略)服部晋の「洋服の話」
服部 晋
(著) 小学館
(発行)92,93-Page から
2009/01/10追記
パンツの癖とり
- サイト内関連用語
- 参考書籍
2006/12/20追記
癖取りプレス (くせとりぷれす)
Forming Press
くせとりのためのプレス
日本語 (にほんご)
英語
本文、意味



